「急かされるのって、なんだか潮目に逆らって泳いでる気分になるんです」
そう笑う彼女は、海の近くの小さな町で、自分のペースを守りながら働いている。朝は太陽と一緒に起き、昼は光の加減で仕事を選び、夕方には必ず海岸線を歩く時間をつくる。
世の中には「波に乗れ」という声があふれている。流行に乗れ、チャンスに乗れ、みんなの速さに乗れ。でも彼女は言う。乗るべき波は、人それぞれで違うのだと。
「私の波は、たぶん大きくないんです。でも、私がちゃんと漕げる大きさなんです」
彼女の言葉は、静かだった。けれど、どこまでも芯があった。
——この連載では、誰かの正解に追わず、自分の潮に乗って生きる人たちを訪ねていく。急がず、流されず、それでも確かに進んでいる人の物語を。
(つづきは、準備中です。風の向きが良くなったら。)